国民健康保険料の決まり方と、所得が少ないときの軽減|所得割・均等割の計算例と7割・5割・2割軽減の基準(令和8年度)
- 国民健康保険料は前年の所得をもとに、市区町村ごとの料率で計算される。同じ所得でも住む場所で金額が変わる
- 令和8年度からは、医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40〜64歳)に子ども・子育て支援金分が加わった
- 世帯の所得が基準以下なら、均等割(自治体により平等割も)が7割・5割・2割軽減される。判定には世帯全員の所得の申告が必要
- 倒産・解雇・雇止めなどで離職した人は、前年の給与所得を30/100として計算する軽減がある
国民健康保険料は「4つの区分」の合計
会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)は給与に料率をかけて保険料が決まりますが、国民健康保険(国保)は、加入者の前年の所得と加入者数をもとに、世帯ごとに計算します。保険料は次の区分の合計です。
| 区分 | かかる人 |
|---|---|
| 医療分(基礎賦課額) | 加入者全員 |
| 後期高齢者支援金分 | 加入者全員 |
| 介護分(介護納付金賦課額) | 40〜64歳の加入者 |
| 子ども・子育て支援金分(令和8年度から) | 加入者全員(均等割は18歳以上の加入者) |
それぞれの区分は、主に次の組み合わせで計算します。
- 所得割:所得に応じた部分。多くの自治体で「前年の総所得金額等-基礎控除43万円」(算定基礎額)に料率をかける
- 均等割:加入者1人あたりの定額
- 平等割:1世帯あたりの定額(採用していない自治体もある)
料率や定額部分、年間の上限額(賦課限度額)は市区町村ごとに決まり、毎年度見直されます。国保は「保険料」として集める自治体と、「国民健康保険税」として集める自治体がありますが、しくみはほぼ同じです。
計算例:東京都北区・令和8年度の料率の場合
東京都北区が公表している令和8年度の料率は次のとおりです(北区は平等割なし)。
| 区分 | 所得割 | 均等割 | 限度額 |
|---|---|---|---|
| 医療分 | 算定基礎額×7.51% | 加入者数×47,600円 | 67万円 |
| 後期分 | 算定基礎額×2.80% | 加入者数×17,600円 | 26万円 |
| 介護分 | 40〜64歳の算定基礎額×2.43% | 40〜64歳の加入者数×17,800円 | 17万円 |
| 子ども分 | 算定基礎額×0.27% | 18歳以上の加入者数×1,873円 | 3万円 |
たとえば、北区に住む35歳・ひとり世帯で、前年の総所得金額等が200万円の場合(軽減なし):
- 算定基礎額:200万円 - 43万円 = 157万円
- 医療分:157万円×7.51%(117,907円)+47,600円 = 165,507円
- 後期分:157万円×2.80%(43,960円)+17,600円 = 61,560円
- 子ども分:157万円×0.27%(4,239円)+1,873円 = 6,112円
- 介護分:40歳未満なのでかからない
合計は 年間 約23万3千円 です(端数処理の前の概算)。実際の金額は、お住まいの自治体の料率と端数処理で決まるので、自治体の試算ツールや窓口で確認してください。
「総所得金額等」は、収入から必要経費や給与所得控除などを引いた後の金額です。給与収入そのものではありません。
所得が少ない世帯の軽減(7割・5割・2割)
世帯の所得が一定の基準以下の場合、保険料のうち均等割(平等割がある自治体では平等割も)が自動的に軽減されます。広島市が公表している令和8年度の基準は次のとおりです。
| 軽減割合 | 前年の総所得金額等の合計(世帯) |
|---|---|
| 7割 | 43万円+10万円×(給与所得者等の数-1)以下 |
| 5割 | 43万円+31万円×(被保険者数+特定同一世帯所属者数)+10万円×(給与所得者等の数-1)以下 |
| 2割 | 43万円+57万円×(被保険者数+特定同一世帯所属者数)+10万円×(給与所得者等の数-1)以下 |
- 給与所得者等:給与収入が55万円を超える人、公的年金等の収入が60万円超(65歳未満)または125万円超(65歳以上)の人。0人のときは「10万円×(人数-1)」の部分は0として計算
- 特定同一世帯所属者:国保から後期高齢者医療制度に移り、その後も世帯主が変わっていない人
- 人数は原則として4月1日(年度途中に加入した世帯は加入日)時点で判定
たとえば、加入者が1人(給与所得者等1人)の世帯なら、5割軽減は総所得金額等が74万円以下(43万円+31万円×1)、2割軽減は100万円以下(43万円+57万円×1)が目安です。軽減されるのは均等割などの定額部分で、所得割は軽減されません。
なお、65歳以上で公的年金等控除を受ける人は年金所得から15万円を引いて判定する、事業専従者控除は控除前の所得で判定する、などの細かい扱いがあります。
収入がなくても「所得の申告」が必要
軽減の判定は、市区町村が把握している所得情報で行います。広島市は、収入がわからない場合は判定できないため、国保に加入している人は収入がない人も全員、所得の申告をしてくださいと案内しています。
会社を辞めて収入がなかった年や、学生・専業主婦(夫)の家族が国保に入っている場合など、確定申告も住民税の申告もしていないと、本来受けられる軽減が受けられないことがあります。住民税の申告書や、自治体の「所得(無所得)申立書」などで申告しておきましょう。
倒産・解雇などで離職した人の軽減
厚生労働省は、倒産などで職を失った人が、在職中と同程度の負担で医療保険に加入できるよう、国保の保険料を軽減する措置を設けています。
- 対象:雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇などで離職した人)と特定理由離職者(雇止めや、病気など正当な理由のある自己都合で離職した人)
- 内容:離職時からその翌年度末までの間、前年の給与所得を30/100として保険料を計算する。高額療養費などの所得区分の判定も同じ扱い
対象になるかどうかや届出の方法は、お住まいの市区町村の国保窓口で確認してください。退職後の健康保険は、国保のほかに任意継続や家族の扶養に入る選択肢もあります。比べ方は退職後の健康保険・任意継続と退職・転職したときのお金の手続きを参考にしてください。
軽減の対象外でも、災害や所得の急減など特別な事情があるときは、自治体独自の減免制度を利用できる場合があります。払えないまま放置せず、早めに窓口に相談しましょう。なお、国保の保険料は全額が社会保険料控除の対象です。
まとめ
- 国保の保険料は前年の所得をもとに、医療分・後期分・介護分・子ども分を合計して決まる。料率は市区町村ごとに違う
- 所得割は多くの自治体で「総所得金額等-43万円」に料率をかける
- 世帯の所得が基準以下なら均等割などが7割・5割・2割軽減される(令和8年度は5割が31万円、2割が57万円の加算)
- 軽減を受けるには世帯全員の所得の申告が必要。倒産・解雇などによる離職者は前年の給与所得を30/100として計算する軽減がある
この記事は 2026年10月時点の厚生労働省・東京都北区・広島市の公表情報にもとづく一般的な解説です。料率や軽減の対象(平等割の有無など)は市区町村によって異なるため、お住まいの自治体の情報をご確認ください。


