電子帳簿保存法の「電子取引データの保存」とは?副業・個人事業主がやること|メールの請求書・ネットの領収書
- 請求書・領収書・見積書などを電子データでやりとりした場合は、そのデータを保存することが義務づけられている(紙でやりとりしたものを電子化する義務はない)
- 保存のルールは「改ざん防止」「ディスプレイ等の備え付け」「日付・金額・取引先で検索できる」の3つ
- 2年前の売上高が5,000万円以下なら、税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられるようにしておけば検索要件は不要
- 副業の雑所得でも、前々年の業務の収入が300万円を超えると書類の保存義務があり、電子データの保存も必要になる
どんなデータを保存する必要がある?
電子帳簿保存法では、取引に関して、紙でやりとりしていれば保存が必要な書類(注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など)に相当する電子データを受け取ったり送ったりした場合、そのデータを保存することが義務づけられています。これを「電子取引データの保存」といいます。
国税庁のチェックシートでは、電子取引にあたる例として次のようなものが挙げられています。
- 取引先からメールやクラウドで受け取った見積書・納品書・請求書(PDFの添付を含む)
- ECサイト(ネット通販)で買った商品の請求書や領収書
- インターネットでしか確認できないクレジットカード・ネットバンキング・水道光熱費などの明細
反対に、紙で受け取った領収書をスキャンして電子化する義務はありません。紙のものは、これまでどおり紙で保存できます。
副業の人も対象になる?
対象になるのは、所得税や法人税で帳簿や書類を保存する義務がある人です。事業所得や不動産所得がある個人事業主は対象です。
副業の収入が雑所得の場合は、次のように整理されています。
- 雑所得を生ずべき業務で、前々年のその業務の収入金額が300万円を超える人は、請求書・領収書などの書類(現金預金取引等関係書類)を5年間保存する義務がある
- この保存義務がある人が、書類を電子データでやりとりした場合は、電子取引データとして保存しなければならない
国税庁の一問一答でも、会社員が副業で行う講演・原稿執筆の雑所得について、上の条件にあてはまる場合は電子データの保存が必要と回答されています。雑所得と事業所得の違いは雑所得と事業所得の違いで解説しています。
保存義務の有無にかかわらず、確定申告で経費を説明するために、受け取った請求書や領収書のデータは整理して残しておくと安心です。
原則の保存ルールは3つ
電子データのまま保存するときは、次の3つを満たす必要があります。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 1. 改ざん防止の措置 | 次のいずれか:タイムスタンプが付いたデータを受け取る/受け取ったデータにタイムスタンプを付ける/訂正・削除の履歴が残るシステムでやりとり・保存する/改ざん防止のための事務処理規程を作って運用する |
| 2. ディスプレイ・プリンタ等の備え付け | 保存したデータを画面や紙で確認できるようにしておく |
| 3. 検索できること | 「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる。加えて、日付・金額の範囲指定や、2つ以上の項目を組み合わせた検索ができる(またはダウンロードの求めに応じられる) |
専用のシステムを使わなくても、1は事務処理規程で対応できます。国税庁のホームページに規程のサンプルが掲載されています。2は、スマートフォンだけで取引していてパソコンやプリンタがない場合でも、近くの有料プリンタなどですぐ出力できれば満たすものとして扱われます。
売上5,000万円以下なら検索要件はかなり楽になる
3の検索要件には特例があります。基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下の人は、税務調査などの際に電子データのダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、検索要件を満たす必要はありません。副業や小規模の個人事業主の多くはこれにあてはまります。
検索要件に対応する場合も、国税庁は次のような簡単な方法を紹介しています。
- ファイル名で整理する:「20261028_11000_株式会社〇〇」のように、日付・金額・取引先の順にファイル名をつけ、決めたフォルダにまとめる
- 索引簿を作る:表計算ソフトで「連番・日付・金額・取引先・書類の種類」の一覧を作り、データと対応させる
ルールに対応しきれないときの猶予措置
原則のルールへの対応が間に合わない場合でも、次の両方を満たせば、電子データを保存しておくだけでよいとされています(事前の届出は不要)。
- 原則どおり保存できなかったことについて、所轄の税務署長が相当の理由があると認める場合(「人手不足」「システム整備の資金不足」「システム整備が間に合わない」なども該当)
- 税務調査の際に、データのダウンロードの求めと、データを印刷した書面の提示・提出の求めに、それぞれ応じられるようにしている
いずれの場合も大切なのは、受け取ったデータを消さずに残しておくことです。メールの添付ファイルやネット通販の領収書は、ダウンロードしてフォルダにまとめる習慣をつけましょう。
今日からできる3ステップ
- 「電子取引」フォルダを作り、年ごとにサブフォルダを分ける
- メールやネットで受け取った請求書・領収書をダウンロードし、日付_金額_取引先のファイル名で保存する
- 国税庁の事務処理規程サンプルをもとに、自分用の規程を作って保管しておく
帳簿のつけ方や書類の保存期間は副業の帳簿のつけ方の基本にまとめています。
まとめ
- 請求書や領収書を電子データでやりとりしたら、データのまま保存する
- 原則のルールは「改ざん防止」「ディスプレイ等」「検索」の3つ。改ざん防止は事務処理規程でも対応できる
- 2年前の売上高が5,000万円以下なら、ダウンロードの求めに応じられれば検索要件は不要
- 副業の雑所得は、前々年の業務の収入が300万円を超えると保存義務の対象
この記事は 2026年10月時点の国税庁の公表資料(電子取引データ保存要件チェックシート〔令和6年11月〕、電子帳簿保存法一問一答〔電子取引関係・令和7年6月〕)にもとづく一般的な解説です。個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。


