副業・フリーランスの報酬が支払期日に払われないときの対応|確認すること・無料の相談先・裁判所の手続
- まずは契約・発注の内容と請求書を見直し、支払期日と金額を確認する。単純な処理漏れのこともある
- 催促はメールなど記録が残る方法で。やりとりは後の相談や手続の資料になる
- 困ったらフリーランス・トラブル110番へ。弁護士に無料・匿名で相談でき、無料の和解あっせん手続もある
- 話し合いで解決しないときは、簡易裁判所の支払督促・少額訴訟(60万円以下)・民事調停という手続がある
まず確認したいこと
支払期日を過ぎても入金がないときは、相手に連絡する前に、手元の情報を整理しておきます。
- 発注の内容:契約書・発注書・メールやチャットで、報酬額・支払期日・支払方法がどう決まっていたか
- 納品・検収:いつ納品し、相手が受け取ったことがわかる記録があるか
- 請求書:請求書を出しているか、金額・振込先・支払期日に誤りがないか
- 入金の確認:振込名義が会社名と違う、別の口座に入っているなどの見落としがないか
請求書の出し忘れや振込先の誤りが原因のこともあります。請求書に書く項目は副業の請求書の書き方で確認できます。
発注者には「60日以内」の支払いルールがある
従業員を使わずに1人で働くフリーランスに業務を委託する事業者には、2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)で、次のようなルールがあります。
- 報酬の額や支払期日などの取引条件を、書面やメールなどで明示する
- 成果物などを受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で支払期日を決め、期日までに支払う
くわしくはフリーランス保護法とは?で解説しています。条件が明示されていなかった場合でも、メールやチャットのやりとりは取引の内容を示す資料になるので、消さずに残しておきましょう。
記録が残る方法で催促する
相手に連絡するときは、電話だけで済ませず、メールなど文面が残る方法でも伝えておくと、後で経緯を説明しやすくなります。伝える内容は、次のように事実だけを簡潔にまとめます。
- 対象の案件名と請求書の番号・日付
- 請求金額と、約束していた支払期日
- 期日を過ぎても入金が確認できていないこと
- 入金予定日を教えてほしいこと(支払済みなら、振込日と名義を教えてほしいこと)
返信の内容(支払の約束や、払わない理由)も記録として保存します。感情的な表現は避け、相手の言い分があれば内容を確認しましょう。
無料で弁護士に相談できる「フリーランス・トラブル110番」
フリーランス・トラブル110番は、厚生労働省の委託を受けて第二東京弁護士会が運営している相談窓口です。公式サイトでは次のように案内されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談できる人 | フリーランス・個人事業主などで、発注事業者から仕事の委託を受けた際のトラブルに悩んでいる人(自分が発注側のトラブルは対象外) |
| 費用 | 相談は無料。匿名でも相談できる |
| 相談方法 | 電話(0120-532-110、受付 9:30〜16:30、土日祝日を除く)、メール(問い合わせフォーム)、Web(ビデオ通話、予約制) |
| 和解あっせん | 弁護士経験10年以上の弁護士から選ばれたあっせん人が双方の話を聞き、解決案を示して和解を目指す手続。費用は無料 |
| できないこと | 相談担当の弁護士が代理人になる・相手と直接交渉する・代理人の弁護士を紹介することはできない(その場合は近くの弁護士会の法律相談を利用) |
フリーランス法の違反が疑われる場合に、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省へ申出をする際のアドバイスも受け付けています。相談のときは、契約書・発注のメール・請求書・やりとりの記録を手元に用意しておくとスムーズです。
簡易裁判所の手続:支払督促・少額訴訟・民事調停
話し合いや和解あっせんで解決しない場合、裁判所の手続を使う方法もあります。報酬の未払いのような金銭の請求で使われる主な手続は次の3つです。
| 手続 | しくみ | 注意点 |
|---|---|---|
| 支払督促 | 書類の審査だけで、裁判所書記官が相手に支払いを命じる。相手が受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、申立てにより仮執行宣言が付き、強制執行を申し立てられる | 申立先は相手の住所地の簡易裁判所。相手が異議を出すと通常の訴訟の手続に移る |
| 少額訴訟 | 60万円以下の金銭の支払を求める訴えで、原則1回の審理で判決まで進める。分割払・支払猶予などの判決や、途中での和解もある | 最初の期日までに言い分と証拠をすべて出す。相手は通常の手続での審理を求められる。判決には同じ簡易裁判所への異議のみで控訴はできない。利用は同じ裁判所に1人年10回まで |
| 民事調停 | 裁判所で、話し合いによって解決をめざす手続。合意すると調書が作られ、確定判決と同じ効力がある | 折り合わず話し合いの見込みがなければ、手続は打ち切られる |
いずれも、2026年5月21日以降は書面に加えてオンライン(民事裁判書類電子提出システム mints)でも申し立てられるようになっています。申立手数料は裁判所の「手数料早見表」で確認でき、原則としてペイジーで納付します。各簡易裁判所では手続の案内(法律相談ではありません)を受けられます。
どの手続が向いているかは、金額・証拠の有無・相手が争っているかどうかで変わります。判断に迷うときは、フリーランス・トラブル110番や弁護士会の法律相談で相談してから進めましょう。費用の支払いが難しい場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助による立替制度もあります。
次から未払いを防ぐために
- 受ける前に、報酬額・支払期日・支払方法を文面で確認しておく(業務委託の契約で確認したい項目チェックリスト)
- 納品したら、相手が受け取ったことがわかる返信をもらっておく
- 請求書は期日に余裕をもって出し、送った記録を残す
- 初めての取引先で金額が大きいときは、分割納品・分割請求も検討する
まとめ
- 入金がないときは、まず契約・請求書・入金記録を見直して支払期日と金額を確認する
- 催促はメールなど記録が残る方法で、事実を簡潔に伝える
- フリーランス・トラブル110番では、弁護士に無料・匿名で相談でき、無料の和解あっせんも使える
- 解決しなければ、簡易裁判所の支払督促・少額訴訟(60万円以下)・民事調停がある
この記事は 2026年11月時点の公正取引委員会、フリーランス・トラブル110番、裁判所の公開情報にもとづく一般的な解説で、法的な助言ではありません。具体的なトラブルは相談窓口や弁護士にご相談ください。


